東京慈恵会医科大学 先端医療情報技術研究部

プロジェクト

JAAMEリサーチペーパーの成果活用(2019年度)

2022.05.17
医療機器開発
制度と手続きを知ってるだけでは不十分。機器開発を始める前に実際にデータを使って作戦を立てる。

医療機器産業研究所のリサーチペーパーとして、医療機器開発で考慮が必要な事項を経験の少ない事業者・担当者向けにまとめました。医療機器産業の育成と発展のためにご活用いただけると幸いです。なお、本件についてメールやお電話でのご質問はお受けしておりません。内容に不備がある場合のみ本ホームページのお問合せフォームよりご連絡をお願い致します。
本サイトに掲載されている情報の正確さには万全を期していますが、利用者が本サイトの情報を用いて行う一切の行為について、何ら責任を負うものではありません。
※2019年度のリサーチペーパーの成果活用として掲載します。

【開発ロジックの整理】
医療機器の開発には販売規制と価格決定の2つの市販前プロセス

・承認申請プロセス
PMDAへの申請
申請品を用いて提供される医療の有効性と安全性について確認がされます。ターゲットとしている疾患に対し標準的に提供される医療と比べた場合のリスクとベネフィットを検討します。
非臨床試験としては、毒性(生物学的安全性)、安全性(電気的安全性など)といったヒトに使用するうえで最低限の内容のほか、製品に応じて動物試験や使用模擬試験といった製品性能を確認するための試験結果が確認されます。
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・保険収載プロセス
厚生労働省への申請
申請品が保険診療で使用された場合の診療報酬が検討されます。申請品自体、申請品を用いた手技のいずれかに対して診療報酬がセットされますが、手技への寄与度が小さいと判断される場合には申請品に対する追加的な価格(点数)がセットされないケースもあります。
診療報酬の決定にあたっては、原則として既存の治療法/検査法におけるコストや、疾患は異なるが類似性の高い機器のコストを踏まえ、それらに対する付加価値額が検討されます。類似性の高い既存製品や治療法/検査法がない場合には、マークアップ方式で1患者当たり費用を見積もります。
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【特に重要】2つのプロセス
市場へ安定的に製品を出す責任
PMDAからの承認によって市場への販売が可能になるため、PMDAのみに焦点が向かいがちです。しかし、販売価格よりも医療機関が得られる診療報酬が少ない場合には、医療機関は逆ザヤとなってしまうため承認を取得したけれども実質上現場への普及が進まないこととなります。ビジネスとしても安定的に製品の供給が難しくなります。
このため、薬事の承認申請準備の段階からターゲットする疾患の患者数、既存治療法及びそのコストを入念に確認し、ビジネスとして成立する報酬価格やマーケットサイズを検討する必要があります。

マーケットの状況/展望
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